一般的に腸内細菌というと善玉菌と呼ばれる乳酸菌やビフィズス菌が有名ですが、酪酸菌は腸に届いた食物繊維を発酵・分解して「酪酸」を作る細菌の総称です。酪酸は、短鎖脂肪酸(脂質を構成する脂肪酸の一部)の一種で、短鎖脂肪酸の代表的なものに酪酸のほか、酢酸やプロピオン酸があります。
酪酸を作り出すのは酪酸菌だけ!
酪酸を作り出せるのは酪酸菌だけで、乳酸菌やビフィズス菌には作ることができません。酪酸菌が作り出す酪酸は腸内を弱酸性にすることで、腸内にある悪玉菌が発育することを抑制し、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が住みやすい環境を作るのに役立ちます。腸内が弱酸性になることによって、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの吸収性が上がり、ミネラル不足を補うこともできると言われています。酪酸は腸内フローラが健康な状態を維持する上で重要な役割を果たしているのです。
腸活の新習慣!酪酸菌で腸を育てる
一般的にこれまで腸活というと乳酸菌やビフィズス菌などに代表される善玉菌を摂取することによって、腸内環境を整えていくことが主流でした。ところが最近では酪酸菌を摂取することで、酪酸菌が作る酪酸が大腸のエネルギー源として細胞に働きかけ、腸内環境を改善していくという、新たな腸活が注目されるようになってきています。大腸には水分・ミネラルを吸収する役割がありますが、酪酸はそれらを促進する作用があります。大腸が正常に機能していくためには酪酸は必要不可欠なのです。
腸内の酪酸を増やすには
一口に酪酸を増やすと言っても、酪酸を作り出すことができる腸内細菌は酪酸菌だけです。そのため酪酸を増やすには、酪酸菌の働きを促し、腸内の酪酸菌を増やしていくことが重要となってきます。しかしながら酪酸菌を食事から摂取するとなると、酪酸菌を含む食事はぬか漬けや臭豆腐など、非常に少なく限定されてしまいます。食事で補うことが難しい場合は、酪酸菌入りのサプリメントなどを摂取する方法もおすすめします。
直接、酪酸菌を食事から摂取するとなると難しいですが、酪酸菌を腸内で育てることは食事内容を工夫することで充分可能です。酪酸菌のエサとなる食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取することで酪酸菌の働きを活発にし、酪酸を増やすことが出来ます。食物繊維には水溶性と不溶性があります。水溶性は海藻類、果物類に多く、また不溶性は穀類や豆類に多く、腸内細菌のエサになりやすいのは水溶性の食物繊維です。腸活を意識するなら水溶性の食物繊維を意識して摂取しましょう。食物繊維は成人男性で1日あたりおよそ20g以上、成人女性で1日あたり18g以上摂取することが目安とされています。